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女子大生の”家族留学”から見る、
未来の家族のあり方とは

現在観測 第25回

「家族」を、想像ではなく体験で考えてみよう

さて、このような取り組みをしていると、「さぞ、幸せな家庭に育ったのだろう。だから、自分の育った家庭と同じような幸せな家庭を、多くの人に見てもらいたいのだろう」と思われることが(時には直接言われることも)、わたしは多い。

しかし、わたしの両親はいわゆるオシドリ夫婦ではない。夫婦円満な家庭を見る機会はほとんどないまま大学生になった。

これは必ずしも特殊な例ではないだろう。

結婚に対する世間のネガティブなイメージといえば不倫や離婚、男性側から見たら「責任」や「束縛」といったところだろうか。

高校時代に出会った友人の中にも、父親の不倫メールを見つけて、離婚調停の際に証拠にしたという子がいた。

家族留学参加者の中にも、両親が不仲だったので、このままでは自分も幸せな家庭を築けないんじゃないかという不安を参加の動機としてあげた人も何人もいる。

なぜ社会の最小単位であり、未来をつくっていく子供達を生み出していく大切な場所でもある家族が、こんなにもネガティブなイメージに包まれているのか。

自分の家族への違和感の反動で、家族に対する強い憧れを抱くようになっていたわたしが、ずっと抱えていた悲しさがこれであった。

そして、わたしは、ありがたいことにmanmaを通してたくさんの憧れの家族に出会うことができた。これは自分のこれまでの人生において、何よりも大きな意味を持つと思っている。

 

そして同時に、家族であるだけで家族が幸せなものになるとは考えなくなった。

manmaを立ち上げてすぐ、たくさんの方に「家族はチームである」と教わったからだ。人生という長い時間を共に生き抜くチームとして家族があるのだ、と。

サークルでもバイトでも仕事でも、大きな何かを成し遂げることは、自分一人では絶対にできないだろう。必ず一緒に目標に向かって力を出し合ってくれるチームが必要だ。manmaの取り組みも同様で、これまで2年間多くの素敵がメンバーと一緒に働き、家族留学が成り立っている。
そして、当たり前だが、チームはただそこにあるだけで成り立つものではない。

人生におけるチームである家族においてもそのことは同様だ。だからこそ、わたしたちは家族をもつことについて、きちんと向き合い考える必要があるのではないだろうか。そして、家族を持った後も、チームのあり方や自分の役割を考え、支え合う気持ちが必要なのではないか。

わたしは、これまで当然とされていた、結婚さえすれば幸せになれるという楽観的な考え方にも、夫婦なんてどうせ離婚するものだという悲観的な考え方にも納得できない。

進学先や仕事を選ぶように、結婚や子育て、そして家族のあり方についても、主体的に考え選びとっていくことできるし、その力がこれからとても大切になっていくと思っている。

どんなに政治や経済の仕組みがよくなったとしても、社会の最小単位である家族が不幸なものであったら、世界はより良くなっていくことはないだろう。そして、その家族の中で生まれ育っていく子供達が次世代をつくっていくことを決して忘れてはいけない。

結婚や子育てについて語ることが夢見がちな女の子の妄想ではなく、本人にとっても、社会にとっても意味のあることであり、かっこいいことであると思われるような流れが生まれてほしい。

そのための突破口としての役割を家族留学で果たせたらとても嬉しく思う。

 

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新居 日南恵

あらい ひなえ


慶應義塾大学法学部政治学科 在学。東京出身。1994年生まれ。



2014年に“いまの女子大生の手で安心して


母になれる社会をつくる”をコンセプトに掲げ、

任意団体「manma」を設立。2015年1月より学生が


子育て中の家庭の日常生活に1日同行し、

生き方のロールモデル出会う体験プログラム「家族留学」を開始。


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